年末年始の映画というとかつては渥美清さん主演の「男はつらいよ」シリーズ、最近では西田敏行の「釣りバカ日誌」でしたが、両作品ともシリーズは終了してしまっており、これらに代わるシリーズはまだ出てきていません。どちらも主人公は競争・出世・成功・名誉といった価値観からはほど遠く、世話好きで人情深い主人公です。「あんな生き方ができたらいいのになあ」という成功した人や脚光を浴びた人とは対称にあるヒーローです。しかし、そこには市井で一生懸命生きている多くの人々への応援歌がたくさん盛り込まれていたからシリーズを延々と続けることができたのだと思います。
私が一番好きな寅さんの台詞があります。妹・さくらの息子・満男が高校生になり、人生に悩んで寅さんに語りかけます。
満男「人間てさ」、寅「人間がどうした?」、満男「人間は何のために生きてんのかな」、寅「難しい事聞くな、お前は。何というかなあ、あー生まれてきて良かった・・そう思うことが何べんかあるだろう。そのために生きてんじゃねえのか」というくだりです。
決して楽しいこと、うれしいことばかりでない現実を生きる私たちの心に染み入るような励ましの言葉だと思います。(写真は京成電鉄金町線の「柴又」駅前にある寅さん像と帝釈天帝釈天です。)