大きさも値段も手軽な新書は文庫本と並んで私の電車の友でもありますが、去る2月9日に中央公論社主催の「新書大賞2011」が発表されました。今年の大賞は東京大学数物連携宇宙研究機構長で物理学者の村山斉氏が著した『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』(幻冬舎)が受賞されました。この新書大賞は今年で4回目で、1年間に発行された約1500点の新書から「最高の一冊」を書店員、書評家、各社の新書編集者ら70人が投票し、選考するそうです。今年度の大賞を受賞したこの作品は、素粒子物理学の基本をわかりやすく説明し、「宇宙はどう始まったのか」「私たちはなぜ存在するのか」「宇宙はこれからどうなるのか」という根源的で難解な疑問についての本ということですが、物理・数学と聞いただけで怖気づいてしまう文系人間の私にとってはとてもハードルの高い本で、書店に山積みされていましたがなかなか手がでませんでした。でも思い切って購入し読んでみると、案の定わからない言葉や公式や理論だらけではありますが、何となく面白い。この何となくというのがいかにも文系的かもしれませんが、超壮大な宇宙と超微小な素粒子の関係の不思議さと、それらの謎を解き明かそうとしてきた物理学者たちの偉大さには心底驚愕するしかありません。いやはや正直言って私は内容を理解することはできませんでしたが、物理学ってすごいなあということはわかりました。
さて、今年の新書大賞は以下のような結果となっているようです。2位『デフレの正体』(藻谷浩介著、角川書店)、3位『街場のメディア論』(内田樹著、光文社)、4位『競争と公平感』(大竹文雄著、中央公論新社)、5位『伊藤博文』(瀧井一博著、中央公論新社)。生徒諸君も是非、これらの新書に挑戦してみてください。