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子どもの貧困について

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 年末になると、たくさんの団体から募金を募るメールが届いてきます。その中の一つに私が以前にタイのスラムや少数民族の村、そしてカンボジアのスタディツアーでお世話になった団体があり、毎年小額ながら募金させていただいています。その団体では「3千円でミャンマー(ビルマ)難民キャンプで小学校の制服と学用品1人分、1万円でラオスの小学校に黒板2台、5万円でアフガニスタンの小学校で3人がけの児童用机イス6脚分」と紹介し、教育によって「貧困から抜け出すチカラと安らぎを子どもたちに届けられるよう冬募金にご協力お願いします。」とあります。絶対的な貧困が内戦や紛争が続いたアジアの国の子どもたちを苦しめています。
 それらに比して日本はとても豊かな国のように思いますが、一方で絶対的な貧困ではなく、相対的貧困率も今年は話題になりました。10月の毎日新聞の社説では、「親の失業や経済困窮から授業料が払えず、やむなく中退する高校生や大学生が後を絶たない。義務教育でも給食費や学用品費が払えない児童生徒が増えており、市町村が実施する就学援助を受ける小中学生は全国で157万人に上る。調査開始時(95年度)の約2倍で、小中学生全体の16%を占めるに至った。」「深刻なのは、自治体によって差が大きく、援助が必要なのに受けられていない子が相当数に上ることだ。生活保護受給世帯の子への援助は国から補助金が出るが、それに準ずる世帯の子については国が税源移譲して補助金が廃止されたため市町村の裁量に委ねられている。」「ユニセフが今年発表した子どもの貧困についての国際比較によると、先進20カ国の中で日本は貧困率が4番目に高かった。日本より上はアメリカ、スペイン、イタリアだけ。北欧諸国に比べると日本の貧困率は約3倍という高さだ。」と述べられていました。相対的貧困率とは全国民の年間の可処分所得(簡単に言えば自由に使える手取り収入)を少ない方から並べて中央の金額、日本では2009年で224万円の半分の水準である112万円に満たない人の割合をいい、主に国民間の経済格差を示すものです。
 このことは11月に開催された本校の学校協議会でも委員から「一人ひとりのニーズに教育が応える上での大きな課題である」との意見も出されました。子どもたちを取り巻く状況は大変厳しくなっています。私たちはしっかりと一人ひとりの生徒のおかれている状況を把握して、自己実現のための支援を行わなければなりません。そのためにも生徒や保護者の方と学校との信頼関係を一層深めていかなければならないと思います。