記事一覧

車窓から思ったこと。

ファイル 71-1.jpgファイル 71-2.jpg

 通勤時に環状線の車窓から外を見ていると、「フェスティバル・ゲート」の解体工事が始まっていました。「フェスティバル・ゲート」は1997年の7月に営業を開始した商業施設ですが、2007年7月には経営難から閉館してしまいました。
 建設当時も私は環状線で職場に通っていましたので、車窓から完成していく姿を観ていました。建物に巻くつくような形でジェットコースターの軌道が現れるのをみて、当時は斬新ですごいなあと感心していたものです。
 私が特にお世話になったのは7階にあった「シネフェスタ」という4つのスクリーンをもつ映画館です。一般の映画もかかるのですが、韓流ブームの前の韓国映画、中国映画、イラン映画、アフガニスタン映画やアート系やミニシアター系の映画がよく上映されていました。私が特に好きだったのは「マサラ・システム」で観るインド映画でした。「マサラ・システム」というのはインドの映画館と同じような状況、つまり上映中にスターが出てくると拍手をしたりテープを投げたり一緒に踊ったり歌ったりと大騒ぎしながら観ることが許される鑑賞システムです。ラジニ・カーント(日本では「踊るマハラジャ」で有名)というちょっとぽっちゃりしたニ枚目大スターにみんなで熱狂して、映画に参加する感じで楽しめました。
 解体中の建物を観ながら、そういえば日本橋にも国名劇場という小さな映画館もあったなあとか思いながら、改めてどんどん小さな映画館や劇場がなくなっていくことに寂しさを強く感じました。特に最近は東京のみでの上映という作品も多くなってきました。TOHOシネマズやムービックスなどのシネコンも便利でいいですが、メジャーでない作品が上映される映画館がなくなっていくのは、大阪という街の文化の豊かさがなくなっていくような気がして、私はとても寂しいです。