先日、「校長だより」で『戦没画学生人名録』について掲載いたしましたが、今日はその発行元である『戦没画学生慰霊美術館 無言館』について紹介させていただきます。恥ずかしながら私はこの人名録が頂くまでこの美術館についてはまったく知りませんでした。『無言館』は窪島誠一郎さんにより、信濃デッサン館の分館として平成9年に開館した美術館で、第二次世界大戦中、志半ばで戦場に散った画学生たちの残した作品や愛用品などを収蔵、展示しているそうです。窪島誠一郎さんは著作家で、作家の水上勉さんの息子さんで美術評論家でもあります。画家の野見山暁治さんと全国の戦没した画学生の遺族のもとを訪れて遺作を集め、1997年に『無言館』を開館され、2008年には『無言館二号館』も開館されました。
窪島誠一郎さんが著した『無言館 戦没画学生「祈りの絵」』(講談社)には「野見山先生には黙っていたけれども、先生の亡き画友への鎮魂録「祈りの画集」にうたれて「無言館」建設を思い立った私の心奥には、戦争にとことこ苦しめられ、口にいえぬ辛酸をなめながら貰い子の私を慈育し、報われぬまゝ先年この世を去った両親への憐れみがあったと思う。憐れみというのも甘い言い回しだけれども、私は死んでいった画学生のどの絵にも、あふれるような存命の歓びと肉親への感謝を発見して瞼がぬれたのだった。親が生きているうち、何一つ孝行せず、すべてを子の手柄のように考えてきた自分の姿をふりかえってやるせなかった。同時に、父や母の背後にあった「戦争」をも一顧だにしようとしなかった自分がなさけなかった。全国をめぐって戦没画学生の遺作を蒐めることは、そんな私自身の五十数年にわたる思いあがりの暦を、もう一どみつめ直すきっかけになるのではなかろうか。」とあります。
『無言館』は長野県上田市にあります。大阪からはかなり遠いですが、信州上田市の観光情報には行き方も詳しく掲載されています。私も機会を見つけて是非一度訪ねてみようと思っています。