記事一覧

戦没画学生人名録

ファイル 411-1.jpgファイル 411-2.jpg

 先日、私のもとに一冊の本と手紙が届きました。本の題名は『新版 戦没画学生人名録』戦没画学生慰霊美術館「無言館」編とあります。そして添えられた手紙には次のようにしたためられていました。今宮中学校を卒業し、画家をめざしながらも戦死した伯父、中村良明のことが記された本を送ります。今宮高校には伯父の遺作集「童女 中村良明遺作集」が置いてあると思うので、この本を一緒にして戴きたいとありました。
 人名録の付箋の張られているページを開きますと、そこにはお写真と「大鐡風景」という絵とともに中村良明さんの紹介がありました。今宮中学校卒業後、絵の勉強中に召集され、1940年(昭和15年)1月2日、中国広東省潮安県西塘付近での戦闘に指揮班連絡係として参加、敵陣への突撃の際、心臓部に貫通銃創をうけ戦死。亨年27才ということです。図書室や自彊会館を探して、ようやく「童女 中村良明遺作集」を見つけました。本の中には、中村良明さんの写真、たくさんの作品の写真、そして中村さんが記された軍隊日記、日記、随筆、書簡、俳句などが収められていました。
 画家としての志半ばで戦地に散った中村良明さんに思いを馳せると、胸が締め付けられます。70年の時を経ても中村良明さんの生きた軌跡は消えることはありません。遺作集と新しい人名録を一緒にして大切に保管しておくとともに、機会を見つけて生徒の皆さんにも紹介したいと思います。