巷では「タイガーマスク」が話題になっています。「伊達直人」の名前で各地の児童養護施設にランドセルなどの寄付がよせられているとのこと。以前、私は大阪府内の児童養護施設の数ヶ所を訪問し、職員の方々や子どもたちのお話を聞かせていただいたことがあります。大阪府には35の児童擁護施設がありますが、それらの施設の規模も建物内部の状況もまちまちです。しかし共通点は入所している子どもたちは親のいない子ではなく、親はいるが一緒に住めない状況の子どもたちが大半であるという点です。特に昨今は虐待を受けて入所してくるケースが半数以上です。昨日は住之江区、今日は高知市の虐待事件が報道されていました。虐待を受けた子どものことを考えると本当に気持ちが重く、悲しくなってしまいます。そして、そうした体も心も傷つけられた子どもが児童養護施設で一所懸命生活しています。そんな中で、施設の方の一番の心配は子どもたちの進路だということでした。18歳で措置が終了するため、施設を出ることになりますから、就職しても自分の住むところの確保はもちろんのこと生活費もすべて自分でまかなわなければなりませんので、住み込みのできる就職先を探すことが多いということです。しかし、経済不況の中でそう簡単には見つかりません。大学等への進学はとても高く厚いさまざまな壁が立ちふさがっている状況です。児童養護施設で暮らす子どもたちは本当に厳しい状況におかれています。
「タイガーマスク」の活躍で今、児童養護施設が多くの人々の関心を集めています。府立高校にも児童養護施設から通っている生徒がたくさんいます。これを単なるブームで終わせることなく、継続的な支援につなげていかなければならないと思います。