今日は午後から日本教育会大阪府支部の研究講演会に参加しました。講師は国語学者・言語学者の北原保雄氏で、1998年から2004年まで筑波大学学長を務められ、現在は新潟産業大学学長で日本教育会会長です。また、『明鏡国語辞典』も編著されておられます。演題は「新語が辞書に載るまで」ということで、若者言葉を初めとして新語が溢れている中、そういった言葉が辞書に載ることの意味についてのお話でした。北原氏は『辞書に載らない日本語』という本もまとめられており、最近の新語の実態を紹介しながら、ユーモアたっぷりにお話下さいました。
単に新語はけしからんということではなく、若者言葉には世相や社会状況が強く反映されています。たとえば、「KY」(空気が読めない)や、「リア友」(リアルな=現実に友だち)に対して「ネッ友」(ネット上の友だち)や「みんなぼっち」という言葉には現在の若者の人間関係の状況がありありと反映されています。実際に今回の講演の中であげられた新語の半分以上が私にはわかりませんでしたが、解説を聞くとなるほどと思うものばかりでした。
とはいえ、辞書に載ったからその言葉に日本語としての市民権が与えられたり、正しいとされたわけでなく、辞書で引かれる可能性が高い言葉だから乗せているということだそうです。
今回の講演をお聞きして、美しい言葉、適切な表現を守りながらも、言葉の移り変わりの中に社会の変化を見ていくことも大切だと思いました。